「千の風になって」 012

まず「泣かないでください」の「で」の音がとても難しいです。言葉的にも大きくなる言葉ではないのにそこが強調されるようなメロディで書いてあります。ここは丁寧にジラーレの勉強をして声を張らなくても高い音が目立たないように歌う技術が必要とされます。
次に難しいのは「大きな空を」の「を」の言葉です。メロディ的には一番出したい、張りたい音ですが言葉的には「を」が大きいのは明らかに変です。(この曲を流行らせたテノール歌手が割りと張り上げているのでその影響かもしれませんが…)
仮にこの音を張り上げず丁寧に飛ばすことができるならばお客さんにしっかりと声と言葉は伝わるはずです。(♭Σ)

まず出だしが注意の曲ですね。出だしの「わ」という言葉は音が低いうえに聞取りづらいことばなので「ぅわ」のように少しウが入っていると思って歌いだされるとよいかと思います。8小節のフレーズは何度も出てくるこの曲のテーマのようなフレーズです。「なかないで」の「で」の音は高いのですが日本語のアクセントとしては弱拍なのでレガートで流れるように歌うと歌詞の語感ともそろって歌えてくると思います。
この曲の一番難しい箇所は19小節のレの音です。これは日本語敵にも弱拍ですしオの母音です。しかもこのキーがちょうどよい人にとってはパッサッジョの位置なので閉じて歌わなければいけません。パッサッジョが苦手な方はまず暗く歌ってみるとよいでしょう。
(♭Σ)

歌い出しが低い音のアーフタクト(裏拍)から始まっています。優しく「私」と言うように歌い始めましょう。そして、そして最初の2音「わ・た」は音が少し離れています。「わたし」という単語が途切れないように滑らかに歌いましょう。
“お墓の前で”の「まえで」がシンコペーションのリズムになっていますが、弾んだり、大げさにならないよう静かに滑らかに歌いましょう。
四分休符のところで大きく息を吸ってから、少ししっかりめに「そこに~」を歌い、「ねむってなんか~」は少し静かに歌います。
次はサビです。たっぷりとした声で歌いましょう。ここで「千の風に」という言葉が二度出てきます。一度目よりも二度目を少し大きく、なだらかな山を登るように歌いましょう。「あの大きな空を」は大空をイメージし朗々と歌い、「吹きわたっています」丁寧に語るように歌いましょう。(♯μ)

この曲は、とにかく「あなたらしく」歌ってください。もう一度言います。「あなたらしく」です。あなたが歌う「千の風になって」にしてください。
あなたが、この詩を読み、感じたことを歌で表現してください。
くどいですが、もう一度言います。「誰かのモノマネではなく、あなたが歌う千の風になってを歌ってください。
この曲は、秋川雅史氏が歌って有名になりました。彼の歌唱で、世代を超えて多くの国民の耳に知れ渡りました。そこに大きな問題があるのです。
秋川雅史氏の声に似せて歌うこと」、「秋川雅史氏の歌い方に似せて歌うこと」が、この曲の美徳とされ始めたのです。彼には彼の声があり、彼なりの歌い方なのです。しかし、それがこの曲を表現する総てではありません。彼のマネをしたところで、この曲の本来持っている良さは、聴衆に届きません。どうかあなたがあなたらしく、この曲のこの詩が持つ繊細な表現をしてください。
歌唱のヒントとしては、最初の「わたしの」は音が低いので、無理に出そうとしないこと、掘ったような声にしないように気をつけましょう。「わたしのーおはかのーまーえでーなかないでくださいー」をあたかも一息で歌うレガートさを大切にしましょう。特に「なかないで」の「で」は音が上がるので難しいと思いますが、できるだけ滑らかに、デコボコしないように、浮かないように気をつけましょう。「そこにーわたしはーいませんー」も同様にレガートに。
「ねむってなんかー いません」は、伝える意思を持ちながら、そっと諭すように語りかけるように、力まずに歌いましょう。
「せんのかーぜーにせんのかーぜになーあーってー」はとにかくレガートにデコボコしないように歌いましょう。一つ一つマルカート(一音一音ハッキリ)に歌わないように注意しましょう。「あのーおおきなーそーらをー」の「をー」が高いので大変ですが、それ以前をレガートに歌っていれば、出しやすくなるはずです。無理にこの音だけをキメようと力むと上手くいきません。とにかくレガートに、デコボコしないように歌いましょう。「ふきわたーってーいますー」も同様に。(♭Я)