1.歌詞と曲と演奏など
(ことば、ストーリー、ドラマ、情景描写、構成、展開、メロディ、リズム、演奏、アレンジなど)
2.歌手のこと
(声、オリジナリティ、感じたこと、伝えたいこと)
3.歌い方、練習へのアドバイス
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1.低い第5音から高い第2音までの、1オクターブ半以上の少し広い音域の曲です。どのフレーズも、4/4拍子の4拍目から始まり、2番の後半からは4拍の裏から始まります。メロディの始まりの第3音からの6度下の第5音への跳躍の後の、臨時記号で半音下げられた第6音への流れが、特徴的な進行の曲です。2つ目のフレーズからは3連符で始まるフレーズが続くのも、特徴的です。また、2番の終わりには、初めて高い主音が出てくるだけでなく、高い主音のロングトーンが2回出た後には、4拍目の裏拍から5個連続の8分音符から始まる3個のフレーズで、この曲の最高音の高い第2音が出ます。もう一度、高い主音のロングトーンと5連続の8分音符のフレーズ群を繰り返すと、この曲では2番目に長い5拍のロングトーンで、高い第2音が伸ばされます。さらに3番と4番の後の曲の最後には、高い主音の7拍ものロングトーンが2回繰り返され、3回目には12拍ものロングトーンが、フェルマータを伴って、これでもかと長いものになります。(水星社 カンツォーネ・ベスト・アルバム1の楽譜による)
2.クラウディオ・ビルラは、曲の始まりの中低音域は艶のある優しい声で歌っていますが、途中からはなかなか充実した声で歌い上げています。曲の後半は、もちろんしっかりと充実した声なのですが、もうひとつ余裕のあるがんばりで、輝かしく歌えるのではと、思ってしまいますが、イタリア人らしいがんばりとも言えます。また、高い第2音を、何度も楽譜とは違うアレンジで連発して歌っているのも、ありがたみがなくなって、少し残念です。
3.音域が広いので、うまく挑戦しましょう。(♭Ξ)
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1.歌詞はイタリア語で、お互いに愛し合っていたであろう恋人と結ばれなかったがそれでも愛している、また会えたなら青空に一緒に住もう、私と一緒に(幸せの日々を)願おう、といった内容です。青空に住むという非現実的な表現からも、想いは叶わないが愛している、という部分をどう表現するかが問われる曲ではないかと思います。
2.ビルラの歌唱は前半の柔らかく甘い歌声と、サビからの力強い声とで歌声にメリハリがあって魅力的な表現だと感じました。大げさなぐらいに子音を立てて、言葉の運びもやや食い気味に歌う感じが、この歌詞の内容をより引き立たせています。
3.語るように歌う部分では息が停滞しないように、Lentamente(ゆっくりと)ではありますが積極的に前に歌い進めていく感覚の方が歌いやすいと思います。サビ部分から急に音量を上げるのではなく、少し前の“io e te” からクレッシェンドしていくとサビに入りやすくなります。“La nostra casa” の部分は、nostra(私たちの)で3拍半伸ばし声を張って歌うとしても、casa(家)が名詞なので、casaがついでに歌っているようにならないよう息のコントロールをしてcasaまでしっかり声を保ってください。(♯α)
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1.邦題では「青空に住もう」ですが、原語では 「Una casa in cima al mondo」がタイトルであり、直訳すると「世界の頂上にある家」となります。邦題と比較すると原語の方がよりストレートに表現しているように思いますし、曲の内容からしてテーマとなっていることに違和感がないように思います。
2.よしあしは置いておいて、ビルラの歌い方は、おそらく「語り」寄りの歌い方を意識したことによるものだと思いますが、曲の冒頭などは歌い方が少し粘っこいというかテンポ的に重さを感じます。また、音程のずり上げやずり下げも目立つ印象です。
3.どのように語りたいかというのが歌い手から見えてくるとよいかもしれません。誰かがそう歌っていたからそう歌うのだというのではなく、歌い手が自分自身がどのように語りたいかという自発的に生み出される言葉のニュアンスがうまく音楽と結びつくと理想的だと思います。特に三連符などのニュアンスは、ソルフェージュ的、器楽的に演奏しすぎると、曲と言葉の持つニュアンスを活かしきれなくなってしまうでしょう。3つの音符で按分しきれない、言葉のニュアンスを活かした語り方を活かせるといいと思います。なお、音程の取り方に関しては清潔に行ったとしても曲や言葉のニュアンスを壊すことにはつながらないと思いますし、却ってより細かい表現が行えると思いますので、ずり上げやずり下げをせず、言葉と音を正確に清潔に意識して歌うとよいでしょう。(♭Я)
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1.aabba間奏 a後半 bコーダの構成で作られています。愛する者への切実な思い、苦しみ、嘆きなどがダイレクトに表現されています。
2.マスケラによく響いて輝かしい声をしています。発音も非常に明瞭なので、話すように歌っている感じがします。弱く歌うところと、声をしっかり張る部分のコントラストがとても大きく、泣きを入れた表現などもドラマチックに聴衆を引き込みます。
ほぼオペラ歌手のような歌い方ではありますが、あえて違いを探すと、口腔内の深さが違うと思いました。
3.声の張りをぜひ参考にしてほしいです。胸郭を広げ横隔膜、腹筋でしっかり身体を支えているので高音やロングトーンが可能になっています。
ぜひ身体のトレーニング、呼吸のトレーニングも取り入れて、身体から出す声をめざしてください。(♯β)
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1.これほど「テンションの落差」がある曲は珍しいです。イントロの、静かで物憂げなアコースティックで芸術的な感覚が素敵です。歌は静かに入ってきます。サビではリズムパターンも印象的で、歯切れのよい伴奏が歌のテンションを引っ張ります。テンポも少し変わっていることに注目してください。音楽は盛り上がると少し速くなります。一瞬の間の後にまた静かな曲調に戻ります。この一瞬が大切で、これ以上長いと間延びしてしまうなか、絶妙な時間間隔が保たれています。
2.出だしでは男声か女声かもわかりません。すぐに低い音域に移り、低音が魅力的に響く男性ヴォーカルだとわかります。静かに語るような歌いだしも印象的ですが、ここからは想像できないほどのサビでの情熱的なシャウト。深い声が身体から離れないで、魂を震わせてきます。一瞬の間の後また何事もなかったかのように静かに語り始めます。この絶妙なコントラストが、このヴォーカルの実力を必要としているといえるでしょう。
3.歌いだしの伸ばし方をまねしてみてください。静かに、でも身体から離すことなく響いています。上級者はサビのシャウトをまねしてみてください。少し喉にかかっても構いません。最近は「小さくまとまる」人が増えています。思い切って叫んでください。(♭∴)
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1.原語タイトルUna casa in cima al mondoは「この世界の上の家」という意味で、この世でない場所を指しています。たとえば「ロミオとジュリエット」のように、今生で結び合うことが許されない2人が死後の幸福を夢見て歌う内容です。
ピアノソロとパーカッションで静かに始まるオーケストラには、次第にストリングス、ブラス、コーラスが加わり編成を大きくしていき、壮大なエンディングを迎えます。
2.甘く語るような音色から力強く歌い上げる男性的な表現に至るまで、ビルラの声は自在です。中音域の充実したテノールで、柔らかなビブラートで聞かせるロングトーンは絶品だと感じます。
3.ひとことで言うと「心中ソング」ではありますが、湿っぽい悲壮感を混ぜ込まない方がこの曲らしいと思います。それよりも死後や来世への希望にフォーカスして歌った方が、聞き手を泣かせる歌になります。後半はどんどん熱っぽくなる展開です。はじめから声を使いすぎないようにペース配分を計算しましょう。(♯∂)