「Come Prima」トニー・ダララ他(カンツォーネ)
初めてダララさんの歌を動画で聞いたときは楽譜3段目末尾からいきなり始まっており、しかもカンツォーネというより第二次世界大戦後に流行ったポップスのような曲だったので、二重に驚きました。
しかしその後、日本語版で1段目から全段唄っているSakuraさんや、イタリア原語で全段唄っている喜香(Yoshika)さんの動画で次第にこの曲の全貌が見えてきました。
飽くまで発声と発語の研鑚のためですが、日本語版を聞くことにより、この歌が純粋で情熱的な「愛の歌」であることに感銘を受け、心が和みました。
しかも、それから自分の心身に良い意味での怪現象、というより「快現象」が続発しております。
まず、身体に起きた「快現象」は、長年慢性化していた、肩をいからせるクセがフッと抜けたことです。
それまで一枚岩のように固まっていて居合の稽古でも解れなかった両肩が、真ん中からパカンと割れてスッと沈んでいったのです。
こんなに気持ちの良い体感は物心が付いて初めてでした。
精神面での「快現象」として、日常の身の周りで起こる出来事の受け止め方、捉え方までが変わり、遂には「自分以外は全て敵」というウツ発症以来の怨念のような感覚が、「いつも誰かが見守ってくれている」とか「自分に関わってくれた人と物のお蔭で自分は生きて来られた」という感謝の念に変わってゆきました。
このような心境の変化の原因が何か、自分でもよく解りませんが、稼げないながらも毎日家事雑事に向き合っている自分が好きになり、感謝と労いが習慣になりつつあります。
「職業としての小説家」村上春樹(本)
作者がこれまでどのように小説を書いてきたか、大切にしていることは何か、などについて様々なエピソードを交えて書かれています。特に長編小説を書くときは書き直しに相当な時間をかけ、我慢強く、コツコツとその時点における全力を尽くし、全てを出し切る、ということが一番印象的でした。
私のことと比べるのは非常におこがましいのですが、私の仕事は準備に結構時間がかかるので、ときに嫌になることもありますが、やはり全力で向きあわなければいけないと改めて感じさせられました。
ムッシュー・ド・パリをご存知でしょうか。
初めて聞いたときは「ミス慶應」や「ミス・ユニヴァース」の類の言葉で、パリ1番の伊達男のことかと思いましたが、全然違いました。
ムッシュー・ド・パリはパリの死刑執行人の頭領のこと。その職業は世襲制で、長くサンソン家が務めました。江戸時代の山田浅右衛門に近い存在です。
主人公のシャルル=アンリ・サンソン(1739-1806)はフランス革命期のムッシュー・ド・パリ。ルイ16世、マリー・アントワネット、ロベスピエール、サン・ジュスト、シャルロット・コルデーといった錚々たる歴史的人物をその手にかけた処刑人です。皮肉なことに本人は熱心な死刑廃止論者で、王党派だったそうです。
「正義の剣」を振るう稼業の傍ら、死体の研究で得た知識で無報酬で地域医療に貢献していたり、死神と蔑まれ忌み嫌われながらも貴族並みの豪華な暮らしをしていたり、これまでに処刑した人々の魂の安息を密かに祈っていたりという、矛盾の中で生きた人。「イノサン」というタイトルは「純真」の意味です。
フランス革命直前までの処刑法は、貴族は斬首刑、平民と女性は絞首刑と決まっていました。斬首刑は剣で一刀両断にするためには、頸椎の決まった一点に刃を振り下ろさなくてはならず、技術のない執行人だと受刑者が無駄に苦しむだけ。
そこで開発されたのがギロチン。失敗知らずのため、平等で人道的な画期的処刑方法だと考えられました。
シャルル=アンリ・サンソンが中心となってギロチン刑の導入を推し進めましたが、結果としてお手軽に多数の人の処刑が行われる恐怖政治の片棒を担ぐことになったというジレンマ。
生涯の処刑人数は約2700人。一人の処刑人が手掛けた人数としては史上2番目だそうです。
意志に反する数奇な運命を辿った処刑人の目から見た、暗黒のフランス史。
まるで銅版画のような緻密で美麗な画風は漫画の域を超越しており、眺めるだけでため息が出そうです。反して描かれるのは極めてグロテスクな内容。中盤からは演劇やミュージカルめいた演出が前面に出てくるので、読む人を選ぶ漫画かも知れません。しかし、人が人を裁くということについて考えさせられる良作です。
「婦系図」(歌舞伎)
久しぶりに歌舞伎を見ました。
仁左衛門と玉三郎による歌舞伎座の舞台でした。派手な立ち回りなどない演目でしたが、しみじみとした情感があふれる演技に思わず引き込まれました。お二人は80歳と74歳とのことですが、若いカップルのように見えるのが不思議でした。
「ザ・キングズ・シンガーズ」(コンサート)
男性六名のアカペラグループ、今回はひとり病気のため来日せず五名でのコンサート。パートがひとり減るということは大変なことだと思うけれど、そつなく美しいハーモニーでまとまっていた。イギリス歌曲、ビートルズ、ディズニー名曲、それぞれに素敵だったけれど、ものすごく感動したのは、アンコールの、もののけ姫の歌。日本のお客さんのために練習してくれたのだと思うけれど、主旋律を歌う男性の声に、耳が引っ張られていくような感じで、大きな声じゃないのによく聞こえた。最近の私は低い声ばかり追いかけているけれど、高い声も美しいのだと、胸を打たれた。
「ブリティッシュ・ベイクオフ」(ドキュメンタリー番組)
アマチュアベイカーがパンやケーキなど制限時間内に作り、審査員が順位、脱落者を決める番組です。アマチュアといっても、プロを目指している人もいれば、趣味の人もいますが、大会後に出演者がどうなったかを知るのがとても楽しみです。趣味として続ける人、お店をオープンした人、ブログなどで発信したり教室を開く人、プロとしてお店で働くようになった人など。歌ではないですが、プロとは何かを考える上でも参考になります。
「F1中継」(スポーツ)
F1の中継を観るのですが、決勝だけでなく、フリー走行、予選も観ると、実況や解説の方の話からとても参考になることがあります。選手が決勝前に日傘をさしているのは、陽を浴びると体力が消耗してしまうからということや、スキルだけではなくメンタルや人間性が大事だという話などです。