ヴォーカルの耳づくりと歌唱の学び方

ブレスヴォイストレーニング研究所のトレーナーや受講生によるライブラリー

V051「待ちましょう」 リナ・ケッティ

1.歌詞と曲と演奏など

(ことば、ストーリー、ドラマ、情景描写、構成、展開、メロディ、リズム、演奏、アレンジなど)

2.歌手のこと

(声、オリジナリティ、感じたこと、伝えたいこと)

3.歌い方、練習へのアドバイス

 

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1.戦地に出かけている恋人の帰りを待つ、女性の歌です。明るく穏やかで、少しコケティッシュな曲調です。低い第五音、低い第7音から、主音へと進む、いきなり解決感の高い音の進行が、異なる楽器で1回ずつ前奏で弾かれ、そこに細かい音の飾りが施され、歌い出しも同じ低い第五音、低い第7音から、主音へと始まります。

 

2.リナ・ケッティは、地声の音域もミックスヴォイスのように、柔らかく優しい声で歌っています。声だけを取り上げれば、クラシックの声楽家のような声ですが、歌詞は流行歌に寄せた、しぜんな発音なので親しみやすく、オペラ歌手がポップスなどを歌うときのような違和感は、ほとんどありません。あまり、口の中を空けていないことが、大きな要因です。しぜんな歌詞の発音を大切にしているからです。

やや、ちりめんビブラートがありますが、それもある意味、魅力のひとつになっているかもしれません。そのあたりも、好かれた理由でしょう。

 

3.女性の皆さんは、ぜひリナ・ケッティのまねをしてみるとよいでしょう。ミックスがどうしてもうまく出せない場合は、キーを下げて、全て地声で取り組んでもよいですが、息を混ぜて柔らかい音色をめざしましょう。

男性でミックスヴォイスを習得したい人は、歌詞の意味は考えず、キーを5度位変えて、主音を、高いeやfにして、息を混ぜて歌ってみると、コツが見えてくるかもしれません。(♭Ξ)

 

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1.古いシャンソンの音楽の形のイメージです。しかしメロディックで美しい。

メロディラインがレガートなので歌い手の力量が目立ってしまう曲だなという印象です。

 

2.かなり鼻にかかった甘えるような声は好みがわかれるという印象です。そして今の時代ではやりすぎかなという印象のポルタメント。ここは評価が時代で変わるところかなと思います。ポルタメントはやりすぎるといやらしく聞こえてしまうのですが、レガートの基本としてはポルタメントは必要です。その意味でもこのポルタメントは評価がわかれそうです。

 

3.リナ・ケッティをまねるのであれば、鼻を意識して鼻の先で声を出すようなイメージをもって歌うとよいでしょう。多少の鼻声はいいと思います。レガートな声のラインを高い響きで訓練するとよいでしょう。(♭Σ)

 

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1.フランス語の歌詞で明るい曲調ではありますが、大切な人の帰りを待つ気持ちを切々と歌っています。ゆったりめのテンポなのと穏やかな旋律の動きも相まって、きっとあの人は帰ってくる、そう希望を持って待ちたいのだという心情が伝わってきます。

 

2.リナ・ケッティの声は細めで高く明るい響きを持っているのが特徴ですが、他にもどことなく現実離れをしたような、メルヘンの世界を想像するような声の響きにも感じられました。相手が帰ってくるかもしれないという希望を、明るい声の響きがしぜんとその表現に加わっています。ビブラートが細かい気はしますが、力みもなくよく息が流れている歌い方だと思います。

 

3.原調のままだと人によっては高くて歌いにくいかもしれません。声の高さは人によってさまざまなので、その場合には少し下げた調で無理なく練習してください。フランス語に不慣れな人でもケッティの発音は聞き取りやすいので、フレージングも含めて一度模倣するつもりで歌ってみるのも勉強になります。(♯α)

 

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1.明るい曲調にのせて愛しい人が帰ってくる(戻ってくる)のを待っているという内容を語った曲です。一見シンプルで可愛らしい曲に聞こえるかもしれませんが、切望しているような熱い思いを感じます。

 

2.音と言葉をずり上げずり下げで歌っている部分が少々気になりますが、表現方法の一環ということでしょう。全体的な発音が明るめである点、閉口母音がよい意味で暗すぎないのは、一つの参考になるのかもしれません。また、滑らかに歌うのが得意なように聞こえます。

 

3.リナ・ケッティの発音が明るめであることは参考になると書きましたが、軽く聞こえてはいても、彼女の声は通常の日本人よりもしっかりと発音できる部分を使えているでしょう。日本人が歌うということに関しては、まず、声がしっかりと鳴る部分を使えているということが前提です。声がしっかり鳴って歌詞を語れるという状態で、なおかつ、開口母音は特に明るく、閉口母音は籠らせず発音できると歌いやすくなるでしょう。また、リズミカルな曲なので、音やリズム優先にならず言葉のフレーズを意識して歌うことができるほうが、より音楽的に聞こえるようになると思います。(♭Я)

 

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1.1番、語り部分、2番、の構成で成り立っています。戦時中に作られたこの曲は、「戦争に行った恋人や家族の帰りを、昼も夜も待ちましょう、心は悲しいけれど、帰りを待っていましょう」という内容で、詞としてはとても悲しく重い物ですが、とても明るく、さわやかで、軽やかなメロディで作曲されています。

 

2.クラシックの発声で、古きよき時代ということでしょうか、頭声を重視した美しいしぜんな声の出し方をしています。細めのソプラノで、軽く明るい音色で歌っています。時々、ポルタメントを使って、でもいやらしくない範囲で表現しています。

 

3.レガート唱法で、音と音のつながりがとても美しいので、ぜひ参考にしてみてください。日本人はフランス語を暗めの音色で歌いがちですが、この歌手の母音はとてもクリアなので、それぞれの母音の違いをよく聞き、発音を習得してみましょう。鼻母音がこもり過ぎていない、曖昧母音が暗すぎないというのも、この歌手の声が明るく爽やかに耳に心地よく聞こえる特徴かもしれません。(♯β)

 

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1.イントロが面白いですね。歌いだしのメロディが2回、1回目はビブラフォン。の、2回目は弦楽器。の修飾があるだけなのですが、シンプルなだけに、どんな歌が始まるのかとても興味がわきます。終始シンプルなアレンジのうえ、歌詞は簡単なフランス語。率直な言葉を並べるため、却って心情がストレートに伝わります。「あなたが帰ってくるまで、いつまでも待っていよう。」強い意志を感じる歌詞です。歌いこむのではなく、語るように伝えたいところです。

 

2.率直なゆえに心に迫る歌詞。その歌を、リナ・ケッティはあくまで淡々と歌っていっています。中間部、言葉を切々と投げかけていく感覚が見事です。

 

3.簡単な単語が続くので、シャンソンの志望者でなくても、フランス語の曲の入門として学んでおきたいところです。歌詞カード、つづり、対訳を見ながらよく聞き、フランス語の独特な音に慣れましょう。たとえば、歌いだし「ジャッタンドゥレ」最後の「レ」はかなり口を横に開きます。必要なら先生に確かめながら、レパートリーにしてみてください。(♭∴)

 

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1.恋人の帰りを待つ女性の歌。歌の中では明言されませんが、第二次世界大戦下という時代背景から考えて、戦場へ行った恋人への思いを歌ったものと思われます。とはいえ重苦しい音楽ではなく、ゆったりとした二拍子はチークダンスに最適といった風情ですし、甘いメロディは愛らしい雰囲気です。だからこそ暗い時代の大きな慰めとなったのでしょう。

 

2.リナ・ケッティは、実に可愛らしい声です。蜜のような甘い音色と鈴を振るような軽いビブラートが魅力的です。男性の庇護欲を掻き立てるような歌唱の秘密は、語頭の力加減の自在なコントロールにありそうです。声の入りも語尾の抜き方も、一切、角のないまろやかなタッチです。

 

3.音域は狭く、そんなに難しい曲ではないと思います。その分、伸びやかなレガートを作ることや、意味に即した言葉の発し方に細やかな気配りをしてみましょう。美しいレガートで歌うためには母音唱での練習が欠かせませんし、繊細に言葉を扱うためには歌詞の朗読の練習が必要です。(♯∂)