ヴォーカルの耳づくりと歌唱の学び方

ブレスヴォイストレーニング研究所のトレーナーや受講生によるライブラリー

V046「エ・ヴェーロ」 ミーナ

1.歌詞と曲と演奏など

(ことば、ストーリー、ドラマ、情景描写、構成、展開、メロディ、リズム、演奏、アレンジなど)

2.歌手のこと

(声、オリジナリティー、感じたこと、伝えたいこと)

3.歌い方、練習へのアドバイス

 

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1.音域は、1オクターブ余りで、始まりは低い主音辺りをウロウロしながら、やがて主音、第2音、第3音、第5音、第6音、第7音と上がって行くのが特徴的な進行で、その後も、第6音から徐々に下向しながらも、高い主音で終わりを予感させ、最後は低い主音から、2音、3音と、中盤で見せた特徴的な進行をそのまま繰り返して、高い主音のロングトーンで終わっています。とても健康的な愛の賛歌のようです。

 

2.ミーナは、女性には少し高めのキーで、最高音では、高い地声を使いこなして、余裕のある声を出しています。曲の最後のロングトーンに、少し余裕がないのが残念ですが、それは、表現としているだけかもしれません。

同じくミーナの「砂に消えた涙」のイタリア語と日本語の録音は、大ヒットしたおとなしい曲ですが、きれいな声でうまく歌いこなしています。

「L’eclisse twist」と「月影のローマ」では、いずれも、パンチの効いたしかもきれいな声で、本領発揮とも言える活き活きとした演奏で、思わずリズムに乗ってしまいます。

 

3.女性には最高音がやや高めなので、キーを下げてうまく取り組む必要があります。ミーナは、声にも無理がないので、真似をするのも悪くないでしょう。(♭Ξ)

 

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1.イタリアンポップスらしい軽く、そして明るい曲です。声の明るさがないと成立しないような曲の印象です。

 

2.イタリア語を軽く発音する部分としっかりと発音する部分とで表現を変えていてそれが結果として曲の表現として成立している素晴らしい歌手です。しゃべっているように歌っている。結果として息が漏れずに息が声になっています。しゃべっている要素が強いままでも高音域までいけるので言葉に説得力があります。ただ、声が前すぎていてビブラートの要素が少ないので、後ろの引っ張りもあるとまた違った要素が生まれてくるイメージです。

 

3まずはしっかりとイタリア語をしゃべる訓練でしょうか。決して力まず、しかしクリアに喋ってほしいです。慣れない人はまずは胸がしっかりと響くようなイメージでしゃべってみるとよいでしょう。(♭Σ)

 

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1.歌詞はイタリア語で、曲名の「エ・ヴェーロ(「È vero」)」は、「それは本当です、真実です」という意味になります。歌詞の中に「È vero amore」(それは本当の愛です)や「amore sei tu」(あなたが愛なのです)とあり。「È vero」を何度も繰り返すところを見ても曲全体が熱烈なラブソングであることがわかります。歌い出しがアウフタクトになっていますが、始めは情景描写なので、強調した感じではなく前奏に乗ってスッと歌が入ってくると、歌詞の雰囲気が活きてきます。高音域で声を伸ばす部分もありますが、決して苦しそうに聞こえてはいけません。愛や喜びに満ちた歌として聞き手に届く演奏にしてください。

 

2.ミーナは癖のない伸びのある声で、高音域の声の張りもよく聞いていて気持ちがよいです。ゆっくりめの歌い出しから前に進むテンポに変わる際や、音域の行き来・フレーズの歌い方を見ても息の流れがとてもよくコントロールできていると感じます。

 

3.この曲は音域が高めなので、もともと声の高さが合わない人は無理をせずに始めから調を下げて練習してください。高音域が続く中でイタリア語を発音する箇所は息を消耗しやすいです。子音のちょっとした遅れが息の流れを邪魔してしまいます。まずはリズム読み(音程をつけず、リズムに合わせて発音する)で子音の入れ方を整えましょう。さらに、歌詞の母音部分だけで歌う練習をして、そのフレーズに必要な息の流れを確認します。例えば「amore sei tu」ならアオエーエイーウで旋律を歌います。いったん子音を全部省くことで、何の妨げもなくひとつのラインでフレーズに声を乗せることができます。その感覚を維持したまま、子音を入れ、本来の歌詞に戻すととても歌いやすくなります。(♯α)

 

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1.「È vero」と何度も繰り返し歌う部分が印象的ですね。これまで見つけることのできなかった真実の愛を、ある日、見つけられた喜びが歌になったような曲です。

 

2.全体を通して表現力が豊かだという印象を受けます。「È vero」と繰り返す部分で、語り方をすべて変化できているのが印象的です。声も歌い上げる部分で効果的に持ち声のよさを活かせていると思います。発音も非常にクリアですね。

 

  1. 「È vero」と何度も繰り返し歌う部分で、愛する人に出会えた喜びを上手に表現できるとよいですね。これまで見つけることができなかった真実の愛。ついにその人に出会えた喜びを「本当なの!」という意味合いを繰り返し歌うので、ただ繰り返すだけではなくて、それぞれにいろいろな色が見えるとこの曲のよさが引き立つと思います。冒頭はやや暗い印象かもしれませんが、今まで見つけられなかった頃を語っていますから、派手にならず、苦悩の時期を表現できるとよいですね。「Ma un giorno~」からは、ポジティブになっていくのでその変化がつけられるとよいと思います。(♭Я)

 

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1.イントロでは、いわゆるレチタティーヴォのような語りで始まり、「È vero」でティンパニとともに歌い、「È vero」の繰り返しの後のメロディが6/8のリズムで刻まれます。途中、インストゥルメンタルの間奏を挟み最後に再びティンパニのバンバンという派手な刻みで終わります。

 

2.冒頭語りの中低音は、ネガティブな詩の内容をあえて張りのない声で表現し、サビの部分の高音になると、非常に張りのある声で歌います。まるで高音に胸声のような張りがあるかのようです。

「Indireizzi~È vero」をノンブレスで歌う、ちょっとクラシカルな表現をしていますが、これはブレスの長さと、身体の支え、しっかり声帯が閉じられているなどの技術がないとできないことです。「amore sei」までは胸声に近い声で、tuからは頭声を混ぜて柔らかめにロングトーンを歌っています。最後の「È vero」の入り方は少し息を混ぜて「へヴェーロ」と聞こえますが、切迫する思いを乗せた表現なのでしょう。そしてだんだん息もれを減らし、声の張りを強めて歌い終えます。

 

3.イントロの声の出し方と、サビの出し方を区別して練習しましょう。

特に高音を高らかに響かせるには、声を額や胸に当てる感覚が必要です。そして声帯がぴちっと閉まっていなければなりません。そのためには、身体を使ってしっかり声を出すトレーニングが必要です。息を吸って胸郭を広げ、息を止めて無呼吸の状態で身体がキープできるように訓練してみましょう。(♯β)

 

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  1. 歌詞には「1000のアドレス」「天使」「奇跡」など、大げさな言葉が並びます。熱烈な愛の歌です。同じ言葉の繰り返しも多く、効果的に使われています。豪華な弦楽器のイントロから始まります。このまま盛り上がって派手な曲なのかと思いきや、意外なほどすっと静かに歌が入ってきます。語るような歌と、シンプルなアレンジの伴奏。はじめは淡白に言葉を重ねているようですが、「niente niente」と言い続けるうちに感情がいっぱいになってきて何とも言えず悲しく感じます。サビは突然入ってくる太鼓の音とともに「È vero」の繰り返しが印象に残ります。

 

2.ミーナの歌唱は、短い曲ですがシーンに合わせて声色が全然違うところが凄いと思います。言葉を聞かせるところ、感情を聞かせるところ、リズムを聞かせるところ。特に後半、打楽器の3つ割が入ってアレンジが軽快になるとともに、歌はリズミカルな歌い方に変わります。また、「luce felice」と明るい意味の言葉に対応するかのように透明感のある明るい歌声も印象的でした。

 

  1. 「È vero」と重なっていくサビをフレーズコピーしましょう。単純な繰り返しに聞こえるかもしれませんが、一言ずつ、言い方を変えてきています。まずはよく聞いてみて、違いがわかるようになったら、自分でもやってみましょう。(♭∴)

 

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1.群衆の中から唯一無二の人を見つけ出し、真実の愛で崇めるというストレートな恋の歌。「È vero」は「(それは)真実です」という意味。しっかりとしたメロディラインですが、伴奏が三連符なので羽が生えたような軽やかさもあります。最後のブリキのおもちゃみたいなドラムがご愛嬌。

 

2.ミーナは声を張った際の金属のような光沢のある声が特徴的です。硬いということではなく、ブレのないツルンとした質感が金管楽器の音のように輝かしいです。あまり大きな声で歌わない箇所では、むしろエアリーな繊細さを感じさせます。この相反する要素を兼ね備えているところがミーナの魅力だと思います。

 

3.幸福感いっぱいで歌ってみましょう。最後の昇り詰めていくところはオクターブの上行です。喉と身体が緊張しないよう、オープンにした状態での上行ができるように研究しましょう。(♯∂)